昆布の旨味成分は、私たちの健康にさまざまなメリットをもたらすことが近年注目されていますが、具体的にどのような成分が含まれているのかよくわからない方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、昆布の旨味成分とメリットについて、長崎の出汁の専門店である中嶋屋が解説します。
■昆布の旨味成分とは?
昆布の旨味成分といえば、誰もが知る「グルタミン酸」。しかし、昆布の旨味には、グルタミン酸以外にも「アスパラギン酸」も含まれていることをご存じでしょうか。
1.グルタミン酸
グルタミン酸は、昆布の旨味成分の代表格であり、昆布中のアミノ酸の約20%を占めています。昆布の旨味が他の食材とは異なる独特の風味を生み出すのは、このグルタミン酸の存在によるものです。東京帝国大学の池田教授が昆布からグルタミン酸を取り出すことに成功し、その旨味を「うま味」と命名しました。
グルタミン酸は、私たちの体内で脳神経の伝達物質として重要な役割を果たし、脳の活性化や生命活動を維持するエネルギーを作り出すための橋渡しをしています。
2.アスパラギン酸
アスパラギン酸は、昆布の旨味成分の一つとして、近年注目されています。アスパラガスから発見されたことからその名が付けられましたが、トマトや豆類にも多く含まれています。
アスパラギン酸は、体内のエネルギー代謝を促進し、疲労回復や体力増強に役立つといわれています。また、アスパラギン酸は、グルタミン酸と同様に、脳神経の伝達物質としても働き、脳の活性化に貢献するとされています。
■昆布の旨味を利用することによるメリット
昆布の旨味を活用することで、健康的な減塩料理を実現できるだけでなく、グルタミン酸がもたらすさまざまな健康効果も期待できます。
1.減塩料理への活用
減塩料理は健康に良いとされていますが、塩分を控えめにすると味が物足りなくなり、満足感を得られないことがあります。しかし、昆布の旨味を活用することで、塩分を控えながらもしっかりと味が感じられる料理を作れます。
昆布の旨味と他の食材の旨味を組み合わせることで、旨味の相乗効果が生まれ、より一層美味しく感じられます。
2.グルタミン酸の健康効果
近年、グルタミン酸の健康効果が注目されています。特に、大腸がん予防効果が期待されていることは多くの研究で示されています。オランダの研究では、グルタミン酸を多く摂取している人はそうでない人に比べて、大腸がん発症リスクが最大で4割低下するという結果が出ています。
グルタミン酸は腸内環境を整え、腸の健康維持に役立つことが示唆されています。
■まとめ
今回は、昆布の旨味成分とメリットについて解説しました。昆布の旨味成分であるグルタミン酸やアスパラギン酸は、私たちの健康にさまざまなメリットをもたらし、昆布の旨味を活用することで減塩料理や、大腸がん予防効果などが期待できます。
健康的な食生活を送るためにも、昆布の旨味を積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。昆布には、ダシを取る「だし昆布」。野菜と一緒に煮たり、お魚や肉やごぼうなどを巻いて食べる「野菜昆布」。そのまま料理に加える「粉末昆布」などがあります。